データ通信と制御 - 14語(シラバス4.1)

パケット交換

データ通信において情報を小さなデータの塊、すなわちパケットに分割して送信する方式である。この方法は、各パケットが独立した経路で送られることを可能にし、受信側で再度順序を整えることができる。これにより、通信回線の利用効率が向上し、複数のデータ通信を同時に行いやすくなる。例えば、インターネットはこのパケット交換方式を利用しており、動画や音声などの情報を途切れずに送信することができる。さらに、通信中に障害が発生しても、他の経路を使って改めてデータを送信することができるため、信頼性の高い通信手段となっている。

公衆回線

一般の利用者が共有する通信回線のことである。この回線は、電話やインターネットなど、さまざまな通信サービスを提供するために使用される。多くの利用者が一つの回線を共有するため、コストが抑えられる利点があるが、通信品質には影響が出る場合もある。例えば、ピーク時には多数のユーザーが同時に回線を使用するため、速度が遅くなったり、接続が不安定になることもある。一方で、主に使用されている技術には、ADSLや光ファイバーなどがあり、これらは速度向上や安定性の確保を図るために進化を続けている。日常生活やビジネスにおける通信手段として重要な役割を果たしている。

専用線

特定の利用者や組織専用に設計された通信回線のことである。この回線は、他のユーザーと共有することなく、常時接続可能な専用の経路を提供する。通常、企業間の大規模データ送信やネットワーク接続に利用され、高い速度と安定性を求められるシナリオに適している。例えば、金融機関や大企業が重要なデータをリアルタイムで安全に送信するために専用線を利用することがある。これにより、通信の品質が保証され、セキュリティも強化されることから、特に重要な情報を扱う場合に重宝される。専用線は一般的に高額な料金が発生するが、その対価として高いパフォーマンスを得られる。

LAN内接続

限られた区域内で複数のコンピュータやデバイスを接続するネットワークの構成を指す。これにより、同じ場所にある機器同士がデータを高速でやり取りできるようになる。一般的には家庭やオフィスの環境で利用され、プリンターやファイルサーバなどを共有する際に重要である。たとえば、オフィス内で社員が同じファイルを共有したり、ネットワークプリンターにアクセスしたりすることがLAN内接続のおかげで可能になる。LANは、Wi-Fiなどの無線接続や、イーthernetケーブルを使用した有線接続として構築され、その構成によって快適な通信環境を提供することができる。

LAN間接続

複数のローカルエリアネットワーク(LAN)を相互に接続する方法である。これは、各LAN内のデバイス同士が通信できるようにするために必要な技術で、例えば、異なる部門やオフィスがそれぞれのLANを持ちつつも、全体として一つのネットワークとして機能することを可能にする。LAN間接続により、データの共有やリソースの利用が促進され、業務の効率化が図れる。具体的には、ルーターやブリッジといったデバイスを使用して、各LANを統合し、必要に応じてデータの流れを制御することで、セキュリティやトラフィックの最適化を実現する。これにより、組織全体がスムーズに情報をやり取りできる環境が整備される。

LAN-WAN接続

ローカルエリアネットワーク(LAN)と広域エリアネットワーク(WAN)を接続する技術や方法のことである。LANは、限られた範囲内で複数のデバイスが直接通信するためのネットワークであり、WANは、広範囲にわたる地域での通信を可能にするネットワークである。例えば、企業の本社がLANを持ち、各支社とWANを通じて接続される場合、これがLAN-WAN接続である。この接続により、異なる場所にいるデバイス同士がデータをやり取りし、業務を効率良く行うことが可能となる。インターネットを介しての情報交換やリモートワークの実現にも寄与する。

スイッチングハブ

複数のネットワーク機器を接続し、データ通信を管理する装置である。通常のハブと異なり、スイッチングハブはデータを送信する際、宛先の機器を特定し、その機器にのみデータを送ることが可能である。これにより、ネットワークの帯域幅を効率的に利用でき、通信速度が向上する。例えば、オフィス内でコンピュータ同士がデータをやり取りする際、スイッチングハブを使うことで、不要な通信を減らし、効率的に情報を共有できる。トラフィックの管理やネットワークの安定性向上にも寄与し、特に多くの機器が接続される環境での利用が一般的である。

ルータ

異なるネットワークを接続し、データパケットの転送を行う機器である。主に家庭や企業のネットワークにおいて、インターネット接続を提供する役割を果たす。受け取ったデータを最適な経路で送り先のネットワークに届けるための判断を行う。例えば、家庭用のインターネットサービスプロバイダーからの信号を受信し、無線LANを通じて複数のデバイスにインターネット接続を提供することができる。また、企業では、セキュリティ機能を備えたルータを使用して、内部ネットワークを外部から保護し、データの流れを管理することが一般的である。ネットワークのスムーズな運営に不可欠な重要な要素となっている。

レイヤー2スイッチ

データリンク層で動作するネットワーク機器の一つであり、主にEthernetフレームを基にしたデータ転送を行うものである。受け取ったデータパケットのMACアドレスを参照し、適切なポートに転送することで通信を可能にする。この動作により、同一ネットワーク内の複数のデバイス間で効率的なデータ交換が実現される。ブロードキャストドメインを分割し、ネットワークのトラフィックを軽減する点でも重要である。また、レイヤー2スイッチは簡単に設定可能で、一般的なオフィスや家庭内のネットワークに広く利用されている。これにより、ネットワークの冗長性や信頼性を高めることができる。

レイヤー3スイッチ

ネットワークのデータ通信において、異なるネットワーク間のデータの転送を行う装置である。これは、伝送単位としてパケットを使用し、IPアドレスに基づいてデータをルーティングする機能を持つ。通常のレイヤー2スイッチがデータリンク層で動作するのに対し、レイヤー3スイッチはネットワーク層に対応し、パケットの転送だけでなく、ネットワークの接続を管理することができる。具体的には、複数のサブネットを接続し、データが異なるネットワークに届くように処理を行う。これにより、ネットワーク管理が効率的になり、大規模なネットワーク環境でも柔軟に対応できる利点がある。特に企業のネットワーク構成で重要な役割を果たす。

ブリッジ

異なるネットワークセグメントを接続する装置である。これは、データリンク層で動作し、受信したデータを分析して、目的のネットワークにのみそのデータを転送する役割を持つ。これにより、ネットワークの効率が向上し、トラフィックの軽減が図れる。具体的な例としては、企業のオフィス内ネットワークにおいて、複数のフロアや部門のネットワークを接続し、それぞれの通信を最適化することが挙げられる。また、ブリッジはネットワークの衝突域を分割することもでき、通信の速度を向上させる効果もある。そのため、特に大規模なネットワークでは、ブリッジの利用が推奨される。

ゲートウェイ

異なるネットワーク間でデータを転送する役割を果たす装置やソフトウェアである。主に、異なるプロトコルを使用するネットワーク同士を接続するために利用される。例えば、企業内のLANとインターネットを繋ぐ場合、ゲートウェイがその仲介を行う。また、ゲートウェイはデータの変換やフィルタリング機能も持っており、通信の効率やセキュリティを向上させることができる。ルーターやファイアウォールといった機器も、ゲートウェイとしての機能を果たすことがあり、ネットワーク管理において重要な役割を担っている。

プロキシサーバ

クライアントとインターネットの間に位置する中継サーバである。このサーバは、クライアントの要求を受け取り、実際の目的地であるインターネットのサーバにその要求を代わりに送信する。さまざまな目的で利用されるが、主な機能にはキャッシュ機能、フィルタリング、セキュリティ強化が含まれる。例えば、企業内でプロキシサーバを導入することで、特定のWebサイトへのアクセスを制限したり、通信内容を監視することが可能になる。また、多くのユーザーが同時に同じデータを必要とした場合、プロキシサーバはそのデータを一時的に保存し、次回の要求時に迅速に提供することで、通信速度を向上させることもできる。このように、プロキシサーバはネットワーク管理やパフォーマンス向上に貢献する重要な存在である。

リバースプロキシサーバ

クライアントとサーバの間に位置し、クライアントからのリクエストを特定のサーバに転送する役割を持つサーバである。一般的には、複数のバックエンドサーバが存在する場合に、それらのサーバに対するリクエストを集約し、負荷を分散するために利用される。セキュリティの向上やキャッシュ機能を活用し、クライアントから直接サーバへのアクセスを防ぐことができる。また、SSL/TLSの終端処理を行うこともでき、通信の暗号化を簡便に管理する手段としても使用される。これにより、システム全体のパフォーマンスを向上させるだけでなく、運用管理の効率化にも寄与する技術である。

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