通信プロトコル - 17語(シラバス4.1)

IPアドレス

インターネットやイントラネット上でデバイスを識別するための一意の番号である。この番号は、デバイスが受信するデータを正確に送信するために必要不可欠で、ネットワーク上での位置情報の役割を果たす。たとえば、家の郵便番号が住所を特定するのと同じように、IPアドレスも各デバイスに特定の位置を与える。このアドレスはIPv4とIPv6の二つの形式が存在し、IPv4は32ビットの数値(例:192.168.0.1)、IPv6は128ビットの数値形(例:2001:0db8:85a3:0000:0000:8a2e:0370:7334)で提供される。これにより、世界中の無数のデバイスを区別し、スムーズな通信を可能にしている。

サブネットアドレス

ネットワーク内のデバイスを組織的に管理するために、IPアドレスを細分化したものである。これにより、大規模なネットワークを小さな部分に分けて管理することが容易になる。例えば、企業のネットワークが大きい場合、サブネットを使用することで、部門別や機能別にネットワークを分け、それぞれのサブネット内のデバイスの通信を効率化できる。通常、IPアドレスの一部をネットワーク識別用に使用し、残りをホスト識別用に使う。これにより、限られたIPアドレスをより効率的に利用し、ネットワークのセキュリティやパフォーマンス向上を図ることができる。

サブネットマスク

IPアドレスのネットワーク部分とホスト部分を区別するための識別情報である。このマスクは、どの部分がネットワークを示し、どの部分がそのネットワーク内の個々のデバイス(ホスト)を示すかを特定する役割を果たす。たとえば、IPv4アドレスの形式では、サブネットマスクは通常255.255.255.0のように表現され、これにより最初の3つのオクテット(255の部分)がネットワークを特定し、最後のオクテットがホストを特定することを示す。ネットワークの効率を向上させ、管理を簡単にするために、IPアドレスを小さなネットワークに分割する際に非常に重要である。この分割により、トラフィックの流れが最適化されるため、大規模なネットワークでも安定した通信が可能になる。

MACアドレス

ネットワークに接続されたデバイスを一意に識別するためのアドレスである。これは通常、ネットワークインターフェースカード(NIC)に割り当てられ、各デバイスが通信する際に利用される。48ビットから成り、通常は16進数で表記される。たとえば、"00:1A:2B:3C:4D:5E"のような形式である。このアドレスは、イーサネットやWi-Fiなどのローカルネットワークでの通信において非常に重要で、特定のデバイスにデータを正確に送信するために使用される。MACアドレスは変更できないため、デバイスの識別において確実性を持たせるが、一方でネットワークのセキュリティに影響を与えることもある。

ルーティング

通信ネットワークにおいてデータが送信元から目的地に達するための経路を決定するプロセスである。ネットワークには複数の経路が存在する場合があり、ルーティングは最適なルートを選択する役割を果たす。具体的には、ルーターと呼ばれる機器が使用され、パケットと呼ばれるデータの塊を管理しながら、効率的に送信されるように経路を選択する。例えば、インターネット上でのWebサイトへのアクセスでは、ルーティングによって、ユーザーのデバイスからデータが最も早く届く経路が選ばれる。また、動的ルーティングと静的ルーティングの二つの方法があり、前者はネットワークの状態に応じて経路を変更するのに対し、後者は予め設定した固定の経路を使用する。

IPv4

インターネット上でデータを送受信するための通信プロトコルの一つである。このプロトコルは、主にネットワーク層で使用され、デバイスやコンピュータに一意のIPアドレスを割り当てる役割を持つ。IPv4アドレスは、通常、4つの数値(0から255の範囲)で構成された点で区切られた形式、例えば「192.168.0.1」のように表現される。この形式により、インターネットに接続されたデバイス同士が正確に通信できるようになっている。インターネットの普及に伴い、IPv4アドレスは足りなくなったため、現在はIPv6という新しいプロトコルも登場しているが、依然としてIPv4は広く利用されている。データのルーティングや転送、さらにはネットワークアドレッシングにおいて重要な役割を担っている。

IPv6

インターネットプロトコルの第6版であり、IPアドレスを管理するための主要な技術である。IPv4に代わるもので、より多くのアドレス空間を提供するために設計されている。IPv4が約42億のユニークなアドレスを持つのに対し、IPv6は約340兆兆兆のアドレスをサポートするため、今後のインターネットの成長に対応することができる。自動設定機能やセキュリティの強化、通信の効率化が図られており、IoT(モノのインターネット)デバイスの増加に適したインフラを提供する。また、アドレスの表記が16進数であることから、各アドレスが簡潔に扱えるのも特徴である。これにより、将来的な接続デバイスの増加に対しても柔軟に対応できるようになっている。

ポート番号

ネットワークにおける通信の接続先を特定するための識別番号である。これは、特定のアプリケーションやサービスが利用するデータの経路を示すもので、通常は0から65535までの範囲で指定される。トランスポート層においては、一般的なプロトコルとしてTCPやUDPがあり、これらはそれぞれ特定のポート番号を用いて通信を行う。たとえば、WebサイトへのアクセスにはHTTPが使用され、デフォルトではポート80が割り当てられている。この仕組みにより、同じIPアドレスを持つ複数のサービスが同時に動作することが可能になり、ネットワークの効率を高める役割を果たしている。

HTTP

Web上で情報をやり取りするためのプロトコルである。Webブラウザとサーバ間でデータを送受信する際に使用され、主にWebページやそのコンテンツを取得する役割を果たす。HTTPの動作はリクエストとレスポンスの形式をとり、ブラウザが特定のURLを入力すると、その情報を要求するリクエストを送信する。一方、サーバはそのリクエストに応じて、必要なデータを含むレスポンスを返す。この仕組みにより、テキスト、画像、動画など様々な形式のデータをスムーズに取得でき、インターネット上の情報の閲覧が可能となる。また、HTTPにはセキュリティを強化するためのHTTPSというバージョンも存在し、データの暗号化や安全な取引を行う際に利用される。

SMTP

電子メールを送信するためのインターネットプロトコルである。このプロトコルは、メールクライアントとメールサーバ間、またはサーバ同士がメールを転送する際に使用される。SMTPでは、送信者のメールアドレスや受信者のメールアドレス、件名などの情報が含まれるメッセージを、指定されたサーバに届ける仕組みが整っている。例えば、GmailやYahooメールなどのメールサービスでは、このプロトコルを利用してメールが自動的に送信される。SMTPはシンプルで効率的な設計がなされているため、電子メールの根幹を支える重要な役割を果たしている。

POP3

電子メールを受信するためのプロトコルの一つである。このプロトコルは、メールサーバからクライアントにメールをダウンロードする仕組みを提供する。具体的には、ユーザーがメールクライアントを使ってメールサーバに接続し、保存されているメールをローカルデバイスに取り込むことができる。一度メールをダウンロードするとサーバ側からメールが削除される設定が一般的であり、オフラインでのメール閲覧が可能であるため、インターネット接続が弱い環境でも便利である。ただし、メールをサーバに保存しないため、複数のデバイスでの同期が難しい点がある。これは、IMAPなどの他のプロトコルと比較されることが多い。

IMAP

電子メールを管理するためのプロトコルである。IMAPを使用すると、ユーザーは複数のデバイスからメールボックスにアクセスし、メールを読み書きすることが可能となる。これは、メールがサーバ上に保存されているため、どのデバイスでも最新のメール状態を確認できるという特性を持つ。また、IMAPはフォルダ機能をサポートしており、メールを整理することが容易である。たとえば、スマートフォンやパソコンで同時にメールを確認しても、未読・既読の状態が一致するため、非常に便利である。特にビジネスシーンなどで広く利用されている。

FTP

ファイルをネットワーク上で転送するためのプロトコルである。主に、クライアントとサーバ間でのファイルのアップロードやダウンロードを行う際に使用される。ユーザーはFTPソフトウェアを用いて指定のサーバに接続し、ファイルを選択して転送を行うことができる。このプロトコルは、特に大容量のデータや多くのファイルを扱う際に便利である。また、FTPはセキュリティ機能を持たないため、より安全な転送を求める場合はSFTP(Secure FTP)などの代替プロトコルが利用される。Webサイトの管理やデータのバックアップなど、様々な用途に広く用いられている。

DHCP

ネットワークに接続されるデバイスに自動的にIPアドレスやその他の設定情報を割り当てるためのプロトコルである。これにより、手動での設定作業を省略でき、特に大規模なネットワークでは管理が容易になる。DHCPサーバは、ネットワーク上でデバイスが接続される際に、利用可能なIPアドレスの中から適切なものを選び、その情報をデバイスに送信する。たとえば、家庭や企業のネットワークでは、パソコンやスマートフォンなどがDHCPを利用して自動的にIPアドレスを取得し、インターネットに接続できるようになっている。このように、DHCPはネットワークの効率と利便性を高める重要な役割を果たしている。

Ethernet

コンピュータネットワークでデータを送受信するためのプロトコルの一つである。通常、ローカルエリアネットワーク(LAN)で使用され、複数の機器が相互に通信できる環境を提供する。いーサネットは、データをフレームという単位で送信し、各フレームには送信元や宛先の情報が含まれている。例えば、家庭内でのWi-Fiネットワークや企業のオフィスでの有線ネットワークは、いーサネットの技術に基づいていることが多い。また、いーサネット規格は、速度や接続方法に応じて異なるバージョンが存在し、さまざまなデバイスとの互換性を実現している。ネットワークの基盤として、いーサネットは現代の通信において重要な役割を果たしている。

IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax

無線通信に関する標準規格の群であり、主にWi-Fi技術を示す。それぞれのバージョンは異なる通信速度や周波数帯域を持ち、技術の進化と共にデータ転送速度が向上している。たとえば、802.11aは5GHz帯域を使用し、最大54Mbpsの速度を提供する。一方、802.11nは450Mbpsにまで対応し、より広い範囲での接続を実現している。最近の802.11acや802.11axは、さらに高速なデータ転送と同時接続が可能で、家電製品やモバイルデバイスなど、さまざまなデバイスが接続される環境において非常に重要な役割を果たしている。これらの規格は、無線LANの性能や利便性を向上させ、私たちの日常生活に深く浸透している。

Wi-Fi4/5/6/6E

無線LANの規格であり、それぞれ異なる性能や特徴を持つ。Wi-Fi 4は802.11nに基づき、最大速度は600Mbpsで、広範囲のカバレッジが特徴である。Wi-Fi 5(802.11ac)は、より高いデータ転送速度を提供し、ビデオのストリーミングやオンラインゲームに適している。Wi-Fi 6(802.11ax)は、更なる速度向上と多くのデバイス接続に対応しており、最大速度は9.6Gbpsに達する。Wi-Fi 6Eは、Wi-Fi 6に加えて、6GHz帯の周波数を利用することで、混雑した環境でも接続品質を向上させる。これらの規格は、無線通信の効率を一層向上させ、家庭やオフィスでのインターネット利用を円滑にするために重要である。

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