情報セキュリティマネジメント試験 用語辞典

タイムスタンプ
【Time Stamp】
対象とする電子文書に対して、信頼できる第三者機関である時刻認証局(TSA:Time Stamp Authority)が発行する時刻情報を含んだ電子データ。タイムスタンプは、付与時点での存在性、およびその時刻以後の完全性を証明することを目的としている。

タイムビジネス推進協議会ガイドラインではタイムスタンプを以下のように定義している。

「特定の電子情報と時刻情報を結合する事により、その時刻以前にその電子データが存在していたことの証明(存在証明)とその時刻までの間にその電子情報が変更・改ざんされていないことの証明(非改ざん証明)することができる手段、およびその証拠に結びつく情報」
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別名:
時刻認証
分野:
情報セキュリティ
認証技術
出題歴:
H29年春期問10
重要度:
(Wikipedia タイムスタンプより)

タイムスタンプ(timestamp)とはある出来事が発生した日時・日付・時刻などを示す文字列。狭義には郵便物の発送日時等を示すために押される郵便印のことを指す(画像を参照のこと)
。現在ではコンピュータにおける「タイムスタンプ」が良く知られている。

デジタル・タイムスタンプ

コンピュータやデジタルカメラ等の電子機器にて記録されるタイムスタンプ(他との区別のため「デジタル・タイムスタンプ」 Digital timestampとも呼ばれる
。)は出来事(イベント)が発生した時刻そのものを指すのではなく、コンピュータにイベントが記録された時刻を指す。多くの場合、その違いは重要ではない。タイムスタンプによりイベントが記録された時刻(例: ログ書き込み時刻)と記録されたイベントの発生時刻の差は極めて0に近づくべきである。

場合によっては、タイムスタンプは単なるイベントの順序付けである可能性もあるが、その際プログラミングにおいて、タイムスタンプを格納する関数、メソッド(例: date_time
フォーマット)等の利用が常に必要となるわけではない。

このデータは通常、一貫性をもったフォーマットで表現され、これにより2つの異なる記録を容易に比較できるようになり、また、時間経過と共に変化するイベントの進行状況を追跡することが可能となる。このような実データに沿って一貫性をもったタイムスタンプを記録する手法をタイムスタンピング(timestamping、タイムスタンプ処理)という。

ただし、いくら一貫性を持った記録を行っても、後から改竄することが可能ならば、その信頼性は失われる。不特定多数からのアクセスを許可しているデータログは容易に改竄できる。このためタイムスタンプを含めたデータログを保管するシステム、サーバには物理的なセキュリティ(例: データセンター等安全な場所への機器保管)・論理的なセキュリティ(オペレーティングシステム(OS)レベルでのセキュリティ、ファイルパーミッションや強制アクセス制御など)を施すべきである。

タイムスタンプは一般にイベントのロギングのため、または、時系列("sequence of events", SOE)の評価を行うため利用される。両ケースにおいて、タイムスタンプはイベントのマーキングのために使われる。ファイルシステムにおいては、タイムスタンプはファイルの作成・更新日時を指す場合もある。多くのOSのファイルシステムではファイルの作成日時(UNIXならびにUnix系OSではctimeという。以下同じ)、更新日時(mtime)、アクセス日時(atime)がタイムスタンプとして記録されている。これらのデータがシステムコールで取り出せるOSも存在する(UNIXでは)。

このようにコンピュータのタイムスタンプは通常ファイルの日付を示す単なるメタデータである。一方、デジタル署名において、ローカル・マシンのタイムスタンプは信頼性の低いものとして利用されない。データの「存在証明」と「完全性」(Integrity、非改竄証明)を担保するため、デジタル署名が利用する「タイムスタンプ」は信頼性が高いものを使用しなければならない。これを実現するものとして、RFC3161 が考案されている

同様の技術がで標準化されている。
。これはPKIを利用するタイムスタンプ認証プロトコルであり、"Time Stamping Authority"(TSA)と呼ばれる認証局がクライアントから送信されるデータのハッシュを元に"Time-stamp token"を作成、これをクライアントへ応答として返す一連の手続きである。これによりクライアントは"Time-stamp token"から対象データの「信頼できるタイムスタンプ」を取得できる
。デジタル署名と同時にも電子公証制度や民間の電子署名サービス、存在証明・完全性証明の根幹を成す技術であり、「電子署名法」やでは必須とされている。

タイムスタンプの例を挙げる。
  • 2005-10-30 T 10:45 UTC
  • 2007-11-09 T 11:20 UTC
  • Sat Jul 23 02:16:57 2005
  • 1256953732(UNIX時間)
  • (1969-07-21 T 02:56 UTC) - 月への第一歩。"That's one small step for [a] man, one giant leap for mankind"(「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である。」), Neil Alden Armstrong.

標準化

ISO 8601は日時表現の標準化である
。これら標準化表現は、しばしばタイムスタンプの値を生成する際に利用される。

その他の意味

タイムスタンプは次の意味でも使われる。
  • タイムコード(ネットワークまたはビデオ技術)
  • UNIX時間。1970年1月1日00:00:00 UTCからの経過秒数。プログラミングにおいてはこちらをさすことが多い。
  • 以下は前述した良く知られるタイムスタンプ。
    • (digitally signed timestamp)。このタイムスタンプに署名した者は、ある時刻に署名した文書やコンテンツの存在を、デジタル署名の一部として与えられた時刻から保証する。
    • コンピュータのファイルシステムやデータベース上に存在するファイル、ディレクトリまたはデータベースの更新もしくはアクセス時刻。

出題例

手順に示す処理を行ったとき,検証できることはどれか。

〔手順〕
  • 送信者Aはファイルのハッシュ値を計算して,信頼できる第三者機関に送信する。
  • 第三者機関は,信頼できる日時を保持しており,受信したハッシュ値とその受信日時を結合し(結合データ),そのデジタル署名を生成し,デジタル署名と結合データの組(デジタル署名済みの結合データ)を送信者Aに返信する。
  • 送信者Aはファイルと第三者機関から送られてきたデジタル署名済みの結合データを受信者Bに送信する。
  • 受信者Bは第三者機関のデジタル署名を確認し,ファイルから計算したハッシュ値と,デジタル署名済みの結合データから取り出されたハッシュ値を照合する。そして,結合データから取り出された日時を確認する。

[出典]情報セキュリティマネジメント 平成07年春期 問50[出典]応用情報技術者 平成27年秋期 問37

  • 当該日時に受信者Bにファイルが到達したこと
  • 当該日時に送信者Aが受信者Bにファイルを送信したこと
  • 当該日時にファイルが作成されたこと
  • 当該日時にファイルが存在し,それ以降改ざんされていないこと
正解 

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