トランザクション処理 - 6語(シラバス4.1)
同時実行制御
データベースやトランザクション処理において、同時に複数の処理が行われる際に、データの整合性を保つための技術である。これは、異なる処理が同じデータにアクセスした場合に、データの競合を防ぐために役立つ。例えば、二人のユーザーが同じ商品の在庫を同時に更新しようとしたとき、排他制御がなければ、一方の処理がもう一方の結果を上書きしてしまう可能性がある。これを防ぐために、一方のプロセスがデータを使用している間、他のプロセスはそのデータにアクセスできないように制御する。このようにして、データの不整合を防ぎ、信頼性の高いシステムを実現することができる。
障害回復
システムやサービスが障害(トラブルや故障)によって停止した場合に、迅速に復旧させるためのプロセスである。これは特にトランザクション処理システムにおいて重要で、データの一貫性や可用性を確保するために欠かせない。例えば、金融機関のシステムでは、トランザクションの処理が行われる際に障害が発生すると、その信頼性が損なわれる可能性があるため、障害発生時にデータをバックアップから復元し、通常の業務を続けられるようにする。障害回復の手段には、スナップショット、レプリケーション、定期的なバックアップなどがあり、これらを組み合わせることで、迅速な対応が可能になる。
世代管理
トランザクション処理において、データや情報の異なるバージョンを管理する手法である。これは、システムの処理が行われる際に、データの整合性を保ちながら、過去の状態と現在の状態を明確に区別するために重要である。具体的には、データベースの更新時に新たな世代を生成し、既存のデータを保持しつつ、最新の情報にアクセスできるようにする。このアプローチにより、同時に複数のユーザーがデータを扱っても互いに干渉せず、整合性を維持することが可能である。例えば、オンライン取引システムでは、購入の際に商品の在庫情報を適切に管理し、誤った情報に基づく取引が行われないようにするために世代管理が活用されている。
フルバックアップ
データの完全なコピーを作成するプロセスである。このバックアップ方法では、指定したすべてのデータが保存され、一部ではなく全体を対象にするため、データの復元が非常に簡単かつ確実に行える。例えば、企業が重要なデータをフルバックアップする場合、サーバ内の全ファイルやデータベースを対象にすることで、万が一のデータ損失時に容易に元の状態に戻すことができる。また、フルバックアップは定期的に行うことが推奨されており、他のバックアップ方法(差分バックアップや増分バックアップ)と組み合わせることで、効率的にデータ管理を行うことが可能となる。このように、フルバックアップはデータ保護の基本的かつ重要な手段である。
差分バックアップ
最初にフルバックアップを作成した後、その時点までのデータの変化分だけを保存するバックアップ方法である。この手法は、フルバックアップと最新のデータの差分が保持されるため、復元時にはフルバックアップと最新の差分バックアップを組み合わせることで、最新の状態を迅速に復元できるという利点がある。例えば、月曜日にフルバックアップを作成し、火曜日にデータが変更された場合、火曜日の差分バックアップには月曜日以降の変更点が全て含まれる。そして、水曜日に更に変更された場合、火曜日の差分バックアップには月曜日以降の変更が反映され、それを利用してデータを最新の状態に戻すことができる。これにより、バックアップの容量を節約しつつ、効率的なデータ保護が実現される。
増分バックアップ
前回のバックアップ以降に変更されたデータのみを保存する手法である。この方法では、初回のフルバックアップを行った後、その後のバックアップで新たに変更されたファイルやデータブロックのみを記録するため、バックアップに必要な時間とストレージの節約が可能である。例えば、月初めにフルバックアップを行い、その後の数日間での変更を増分バックアップとして保存するとする。これにより、完全なデータ復旧が必要な場合でも、最初のフルバックアップとその後の増分バックアップを組み合わせて使用することで、効率的に復旧作業を行うことができる。この手法は、データの安全性を確保しつつ、バックアップ作業を効率化するための重要な技術である。